4月2日
午前中久しぶりにアパートでゆっくりして、午後からAngewante Museum(アンゲバンテ美術館/応用美術)に出掛ける。ここもAngewante Kunst in Wienと言う応用美術大学に併設した美術館。実は私はこの大学のテキスタイル科に1年間聴講生として通っていた。確かまだウィーンに行って2年目のお菓子の事に目が行く前の話。その頃はずっとこの美術館は改装中で、収蔵物は良いものがあるというのは知っていた物の、実際に目に触れることはほとんどなかった。
余談なのだが、私はその頃主人の姉夫婦のブティックの新装の為にウィーンで家具を買い付けてコンテナで送るというお仕事を頂いた。アンティーク店や古物屋さん、DOROTEUM(ドロテウム/オークション会場)などあらゆるところを回って洋服ダンス×5、引き出し棚×1、飾り棚×2、書斎机×1、帽子掛け×2、姿見鏡×1、椅子×4、そして古い地球儀やランプなど、、その頃(今もだけど)ほとんどドイツ語が喋れなかったので運送屋さんに相談したところ(どうやって相談したのか、、その頃は心臓が結構強かった)「買い物をしたら私の名刺をその店に渡してくれたら後の配送はすべて私が手配してあげる」と、と~っても信用できそうなお顔の(私の勘!)女性に言われ、私は数か月掛けて次々と買い物をした。何度も見に行って値段交渉をして買っている内にその家具達は私の分身の様な気分になって、倉庫から出航して日本に向かったときはものすご~く寂しく、心配で心配でならなかった。しかしその数年後日本に一時帰国した私はその家具たちと劇的に(自分だけの感情!)再会を果たす。そして、その家具達は今私が住んでいる京都の家の隣のブティックで何気なくお客様のお相手をしている。
で、その時に私はウィーンの曲木家具についてのちょっとお勉強をした。ウィーンでは1800年の中頃に木を蒸気で曲げて作る曲木の技術が風靡していた。その代表的な会社がトーネット兄弟社。それまでのビーダーマイヤーの貴族的なデザインを一新したシンプルでかつ優美なデザイン。その流れがあってこそ、その後のオットーワーグナーやヨーゼフホフマンのデザインに繋がっているのだと私は思う。
今までのこの長~い余談はここにつながるのだけど、その曲木家具の魅力をこのアンゲバンテ美術館は見事に展示している。
美術館内をゆっくりと見てから、また1区の旧市街に入りブラブラとお散歩。
ウィーンの焼菓子を食べたかったら本当はクリスマスの時期にウィーンに行けば楽しいのだけど、もちろんそんな時期に旅行に出れるわけもなく、、が、ステファン寺院の裏のこの”PIRKER”というお店は年中クリスマスには欠かせないLebkuchen(レープクーヘン/蜂蜜を使ったお菓子)やFrüchte Brot(乾燥フルーツの餡を詰めて焼いたパン)」などを販売している。左下の写真のハート形はクリスマス時期なら「Frohe Weihnachten(メリークリスマス)」などと書かれているのが普通だが、今の時期は「Ich libe Dich(愛してます)」とか「Gruß aus Wien(ウィーンからこんにちは)」なんて書かれていて「I ♡ Vienna」ってのもある。どこかのTシャツみたい。
そのPIRKERで滞在中のおやつを買い込んで(外でケーキ食べて家でこれ食べるの?って…)友人夫婦と合流して今日のお菓子はKONDITRAI OBERLAAへ。
私の血糖値が旅行中に上がることは覚悟だが、なんだか友人達も思いっきり上がりそうで申し訳ないです。
このオバ―ラーは比較的新しいケーキ屋さんで甘さが少し控えめなのがウィーンでも人気のお店。私が注文したのはApfel Mohn Torte(リンゴとけしの実のトルテ)。ちょっと今まで味わったことのない組み合わせだったので興味があって頼んでみたら、ものすご~く私の好み♪細かく刻んだリンゴを混ぜたしっとりした生地の上にけしの実がたっぷりと合せた生地を乗せて焼き上げてある。すごく地味な見かけなんだけどほのぼの美味しい、、こういうの焼きたいナ♪
オバーラーは最近Laa Kronen(マカロン)にも力を入れていて、色とりどり味とりどりのマカロンが並んでいてショーウィンドーはとても賑やか。あれこれ食べたくなる。
夜に知人のお宅でご馳走になることになっているので、1個ずつ何種類かのマカロンを買う、、、が、食べるときにどれも食べたくなって、人のが気になって仕方ない(苦笑)。
夜は古くからの知り合いで今泊めて貰っている同じアパートの住人である中国人女性のお部屋にお呼ばれに行く。
彼女はとってもお料理が上手で本格的な中華料理をパッパと仕上げる。その日ベルリンから帰ってきた彼女は「夜ラーメンでも作るからおいでよ」と誘ってくれて、そのつもりで行ったら中華のフルコースになっていた。京都の「お茶漬けでも、、」じゃないけど、びっくり!ベルリンから帰って疲れているのに申し訳ない。でも本当に美味しかった。一番最初に出してくれた青野菜のスムージー、クコの実としょうがとキウイとかいろいろ入っていて、旅行中野菜が不足気味だった身体が思いっきり喜んでいるのが翌朝良く分かった(笑・・ご想像のままに)。彼女の息子さんは世界を飛び回ってご活躍中の指揮者。皆お元気で嬉しい。ごちそうさまでした。 (5/21記)